― 親の価値観が、子どもの本当の気持ちを見失うとき ―
子どもがなぜ不登校になったのか、その理由は本当に人それぞれです。
けれども、不登校に至るまでには、親子の間での価値観の違いや、気持ちのすれ違い、葛藤があったのではないでしょうか。
かつて私自身も、「学校には行くべきだ」「一度休むと戻れなくなる」「今ここで逃げたら、将来が心配だ」と、親としての“正しさ”を子どもに求めていました。
その背景には、私自身が受けてきた厳しい学校教育や親からのしつけがあり、いわば“体育会系”のような価値観が深く根付いていました。そのため、子どもの言葉を素直に受け止めることが難しく、心の奥にある「本当の気持ち」を聴くことができませんでした。
「学校に行きたくない」その言葉に傷ついてしまう自分
朝、「学校に行きたくない」と言われるたびに、「またか…」と頭を抱える日々。
「今日は元気に行ってくれるかな」と期待する反面、思い通りにいかない現実に葛藤し、苛立ちや不安が募っていきました。
そんな自分に対して、「私は母親として失格なんじゃないか」「子育てを間違えたのではないか」と自責の念に押しつぶされそうになることもありました。
誰にも責められていないのに、責められているように感じてしまう。
気づけば、親自身が心も身体も限界に近づき、その不安や焦りが子どもにも伝わっていく・・・そんな悪循環の中にいたのです。
本当は、誰かにかけてほしかった言葉
今思えば、当時、夫でも、義母でも、誰でもよかったのです。
「あなたの子育ては間違っていないよ。大丈夫。〇〇ちゃんは学校がつらくて、唯一甘えられるママに助けを求めているだけなんだよ」
そんな一言があれば、少しは心が軽くなり、子どもにももっと優しく向き合えたかもしれません。
親だって、いっぱいいっぱいになる
毎日の家事、育児、仕事、送迎…。どれも当たり前のようにやっているけれど、誰かに褒められることは少ない。
でも、親は皆、「大切なわが子を幸せに育てたい」と心から願っています。
そんな気持ちがあるからこそ、子どもが不登校になったとき、真剣に悩み、なんとかしようと情報を探し、時には親の会に参加する――。
それは、親としての“責任”や“愛情”そのものなのです。
正解が見えづらい社会の中で
現代は情報があふれ、何が正しいのか分からなくなることもあります。
「お医者さんのような専門家に原因をはっきり言ってもらえたら、少しは気が楽かもしれない」と思う反面、レッテルを貼られてしまうのではと不安になる…。
そんな揺れる気持ちを抱えている親御さんも多いのではないでしょうか。
今、一番支えてほしいのは「親自身の心」
「学校に行きたくない」と言う子どもの背景には、その子なりの理由があります。
その声を本当に受け止めるためには、まずは親自身の心が安定していることが大切です。
ひとりで抱えず、信頼できる誰かに相談すること。
同じような体験をした人と話すことで、情報や視点が広がり、「ああ、自分だけじゃなかったんだ」と救われる瞬間があります。
助けを求めることは、弱さではない
「人に助けを求める気持ちを持つこと」
それが、親自身の心を守り、結果として子どもを支える一歩になります。
これから、親を支える場やコミュニティはますます必要とされていきます。
迷ったとき、苦しいとき、ぜひ誰かに話してみてください。
一緒に、子どもたちを支えていきましょう。